~上伊那の事業者向けコロナ対策~その3
前回の続きとして、
③各論「2.ビジネスモデルや取扱商品を時流にあわせ変更・応用する」をご紹介します。
今回のコロナ問題で売上が急に0になることはなかなか無いでしょうが、
それでも売上がだいぶ下がることはあると思います。
そんな中で、耐えるだけでは現預金等の資産が目減りしていく一方ですし、
いつまでも企業の体力が持つというわけではありませんから、
多少なりとも、売上UPにつながるようなことを考えなくてはいけません。
その際に使える手法が、
今回の「2.ビジネスモデルや取扱商品を時流にあわせ変更・応用する」になります。
まず大前提として、今回のコロナウイルス拡大による消費減少や各活動自粛、
繁華街や店舗等への敬遠が起こったとしても、
"反動"としてどこかに消費が生まれるという点を理解しなくてはいけません。
最初にこの話題を理解しやすくするための事例から紹介しましょう。
今回のコロナウイルスの問題が起きて、
現在小売店からマスクや手指用消毒液等が消えてしまい入手できません。
つまり「マスクの流通数 よりも マスクがほしい人」のほうが多いわけです。
流通量と消費量のバランスが、完全に消費量のほうが多くなってしまっています。
そこで、手指消毒用にはアルコール度75%程度前後がいいということで、
高アルコールのお酒(スピリタスなど)のアルコール度を精製水で
75%程度の濃度になるまで薄めて消毒液として代用する用途として
高アルコール度の酒を買い求める人が多く、
どこを見ても品切れになっているようです(除菌の効果の真偽はわかりません)。
また、手芸用品店が手作りマスクキットの専用コーナーを作っているそうです。
市民の入手できないなら作ってしまえ!という心理を上手く突いたということです。
実際は、手作りマスクは目が粗いため飛沫感染予防としては使えないようですが、
口周りなどを不用意に触ったりしないようにするための
間接的予防としては手作りマスクでも一定の効果が見込めるということで、
人気になっているようです。
このように需要と供給を分析して、
市場で足りていないものを自社の商品で「代用できないか?」
と考える"代用思考”がまず1点。
次の事例ですが、
書店などでは、学校休校の生徒用に自習用の学習ドリルや、
暇なときに読むために、漫画や雑誌などの販売数が増えているそうです。
他には、休校で自宅待機となっている子供のために、
お菓子やインスタント食品、
お昼ご飯のために焼きそばやラーメンなどの買い貯め需要も発生しています。
暇をつぶすためのゲーム機やおもちゃ、レンタルDVDなどの販売数も増えているようで、
家で過ごす時間が増えた人が望むものは何か?
と考えて、その人にとっての適切を売る"ライフスタイル思考”がもう1点。
こういったことを自社の販売する商品・サービスとシナジーを生まないか?
と考えてみるのです。
たとえば、手指の消毒液が足りないならば、そもそも触らなければいいわけです。
そう考えれば、使い捨てのポリエチレン手袋なんかも本来需要が出てもいいはずです。
家でウイルスを増殖させたくないけど、
クレべリンや家庭用アルコール除菌スプレーが無い……ということであれば、
高性能空気清浄機やハイターなどの塩素系漂白剤が代用思考の代表になるかもしれません。
面白い商品でいえば、韓国家電メーカーのLGが販売している「除菌クローゼット(LG Styler)」などは衣類の除菌スプレーが手に入らない場合の代替品として画期的だと思います。
また企業向けにエアシャワーの出荷数も増えているようです。
なお注意点を挙げると、代替思考でビジネスを新展開させる場合は、
必ず本質的な問題にフォーカスしてください。
たとえば今回のコロナ問題で言えば、
マスクや消毒液・除菌方法などの代替を探す事はOKですが、
一瞬トイレットペーパーのパニックバイがありましたが、
そういった本質からずれた商品の代替展開(トイレに流せるティッシュ)はお勧めしません。
すぐにパニックバイが収束したように一過性で終わる確率が高いので、
新規展開しても投資を回収できないうちにブームが終わってしまうリスクが高いです。
一方ライフスタイル思考のケースで考えてみると、
今クラスターの温床ということで飲食店やライブ会場などは客足が遠のいています。
その場合は、飲食店ではテイクアウトや出前のシステムを導入したり、
人数によっては貸し切りプランを作ってもいいはずです。
あるいはシェフが自宅に出張レストランをするのもいいかもしれませんし、
飲食店やスーパーなどでも、免疫力UP系の食材などの特設コーナーを作れば、
売上UPにつながるかもしれません。
ライフスタイルや文化ということで言えば、
歓送迎会などは重要な行事ですが自粛要請により中止の流れがあります。
であるならば……
もともと利用するはずだった居酒屋の3000円コースで飲み食いする予算を使って、
持ち帰り用の豪華な3000円弁当を参加者に贈ってあげてはどうでしょうか?
「歓送迎会ができないならせめておうちで美味しいものを」
というキャッチコピーを使えば、
単価の高い持ち帰り用の高級弁当の需要を起こせるかもしれません。
音楽ライブなどは、PCによる特別オンラインコンサートを開催したり、
zoomなどを利用したオンラインファンミーティングや、
オンライン握手会だって開催できるはずです。
今、人が”外に出たくない、感染したくない"という恐怖や欲求を持っているならば、
その"恐怖や欲求(ライフスタイル)”にあわせて商品やサービスを変えられないでしょうか?
また、日ごろの商品・サービスに+αすることでも顧客の信頼を得られます。
たとえば、車の車検です。
今の時分に、車検が終わって車が返ってくるときに、通常の検査以外に
「車の内部を除菌させていただきました」と特別サービスで車内洗浄をしてくれたら、
とてもありがたくありませんか?(そういう意味では、ガソリンスタンドなどでも「5分で終わる車内除菌」などとして新商品にできるかもしれません)
他には、どうしても都内などに行かなくてはいけないときに、
高速バスを利用するとします。
そのときに、
a.昇降口に手指用消毒液を設置しておくので昇降時には絶対に使用すること。
b.風邪のような症状がなくても乗客全員マスク義務化
c.出発前にサーモ式体温計で体温が一定の基準以上なら乗車拒否
d.不用意に口周りに触れることを防ぐためにバス内での飲食禁止
e.トイレ後に手を洗わないと感染源となるため、バス内のトイレは緊急時以外利用禁止
などの条件を出して、同意した人のみが乗れるバス会社があったらどうでしょうか?
少なくとも何も条件を出していないバス会社よりは、
安心して高速バスが利用できそうな気がするため、
多少金額が高くてもこのような環境下ならそのバス会社を私は利用するでしょう。
代用するか、ライフスタイル・欲求にあわせるか、商品・サービスに+αするか、
「2.ビジネスモデルや取扱商品を時流にあわせ変更・応用する」
という視点からの切り口はご提供できたかと思います。
そしてオムニチャネル(店舗販売とネット販売の両方をやる)を上手に構築することも、
今の時分にはとても有効です。
外出したくないというニーズから、ネットスーパーなども売上を増やしているようです。
本時事が貴社にとっての糸口になりましたら幸いです。
今回もお読みいただきありがとうございました。
※追記:店舗ビジネスの会社が、感染予防対策を実施しているのならば、
その事実は”公表"しなければ意味がありません。
「自社のコロナウイルス感染予防に対する取り組み」
というA41枚の資料を作ってHPやSNS、店頭などに張り出しましょう。
顧客に知られなければ、どんな対策をしても客足対策という意味では無意味です。
ぜひ、その事実を告知しましょう。
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